みなさん、こんにちは!
今日は北村和也氏のコラム「太陽光発電の光と影」を取り上げつつ、中国製パネル論争やペロブスカイトへの期待をどう捉えるべきかを整理してみたいと思います。
世界で圧倒的に進む太陽光発電

出典:Ember(The Electrotech Revolution)
- 2025年前半だけで350GWの新規導入、前年比64%増
- 世界累計は3,000GW(3TW)に迫り、すでに石炭や天然ガスを上回る容量
- 中国が世界の2/3を牽引し、欧州や米国も設置を加速

出典:Ember(The Electrotech Revolution)
背景にあるのは「化石燃料価格高騰への対抗」と「再エネの低コスト化」。
1980年から40年間で太陽光パネル価格は 99.6%下落 しており、導入拡大の基盤となっています。
太陽はあらゆるエネルギーの源泉

出典:Ember(The Electrotech Revolution)
- 風力、水力、バイオマス、そして化石燃料でさえも元をたどれば太陽エネルギー
- ただし化石燃料は「太陽の遺産」を消費する形
- 太陽光発電はリアルタイムに直接利用できる効率的な仕組み
「日々届く太陽エネルギー5日分が、人類が蓄積した化石燃料エネルギー総量に匹敵する」というデータも示されています。
利益の大きさは「ユーザー>>メーカー」

出典:Ember(The Electrotech Revolution)
Emberの分析によると
メーカー利益 | 5ドル(コスト100ドルのうち5%程度) |
施工業者利益 | 20ドル |
ユーザー利益 | 30年間で500ドル(電気代節約) |
つまり 需要家のメリットはメーカー利益の100倍。
太陽光発電が世界で「止まらない理由」は、ここにあります。
「中国製パネル論争」に欠けている視点
日本では「中国製だから使うな」という意見も強まっています。
背景にはエネルギー安全保障や地域保全の懸念もありますが、情緒的に「外国に利益を与えるな」という声も少なくありません。
しかし北村氏はこう警鐘を鳴らします。
- 「国産かどうか」だけを基準にすれば、安価な再エネ導入の機会を逃し、
結果的に国民の利益を奪う - 「中国製パネル=悪」とする議論は、需要家が得られる利益の視点を欠いている
- 関税強化や排外的な政策は、最終的に自国のエネルギー転換を遅らせる
ペロブスカイトと「国産至上主義」への懸念
ペロブスカイト太陽電池は日本発の技術として注目を集めています。
ただし、これも「国産だから推すべき」という論調に巻き込まれかねません。
- 国産推しが過ぎれば、世界市場での普及スピードを落とすリスク
- 技術開発者の本意は「世界で普及すること」であり、
国産産業保護の道具ではない - 「海外産は使わないが、自国技術は海外に売る」という独善に陥れば、
かえって日本の信頼を損なう
私たちEPCの立場から重要なのは、設備が国産かどうかではなく「地域の需要家に最大の恩恵をもたらすかどうか」です。
- 国際分業で成り立つスマートフォンのように、
再エネ機材も「国籍」ではなく「価値」で選ぶべき - ペロブスカイトは日本発の技術として誇るべきですが、
世界に広がってこそ意味を持つ - 「誰が作ったか」より「誰がどのように利益を受けるか」を基準に、
地域社会に還元できる再エネを広げていきたい
再エネ議論に必要なのは「需要家の視点」
太陽光発電が拡大する根本理由は「需要家に圧倒的な利益をもたらすから」。
国産か中国製かという二元論ではなく、「誰が最終的に得をするか」という冷静な視点を持つことが、エネルギー転換を前に進める唯一の道です。
著者コメント
私たちは日常的にスマートフォンを使っています。例えばiPhoneは、設計はアメリカ(Apple)で、部品製造は日本、台湾、韓国など世界中で、組立製造は中国で行われています。
そこで利用者にとって大事なのはどの国が作ったかではなく、使いやすさ、利便性、価値だろうと思います。
iPhoneを国産でないから使わないと言う人はいないように、太陽光パネルも国産か否かよりそれによって受ける恩恵が重要だろうと思います。