みなさん、こんにちは!

今日は東建コーポレーションとTGオクトパスエナジーの業務提携のニュースを取り上げます。

賃貸住宅に太陽光を導入するスキームですが、この記事から見えてきた本当のポイントを整理してみたいと思います。

ニュースの骨子

いわゆる「三者Win」モデルであり、PPA(電力購入契約)の典型的なかたちと言えます。

  • 東建コーポレーションが賃貸住宅に太陽光パネルを設置
  • 設置費用はオクトパスエナジーが負担(屋根貸しモデル)
  • 10都府県から開始し、将来は全国展開を視野
オーナー投資負担なしで「再エネ対応物件」として付加価値
入居者電気代が約4%安くなる

事業構造の分析

この仕組みは一見シンプルに見えますが、実際には複数のプレイヤーが関与しています。

PPA事業主体オクトパスエナジー(資金+小売ライセンス)
建物オーナー初期投資ゼロで付加価値を得られる
入居者電気代の低減+再エネ利用というメリット
EPC(設計・施工)オクトパス単独では弱く、外部パートナーが必要

つまり、全国展開には「地域EPCの存在」が欠かせない構造になっています。

見落とされがちなEPCの存在

記事を読んでいて特に感じたのは、「EPC部分が抜け落ちている」という点です。

PPAモデルを机上で設計するのは簡単ですが、実際にそれを施工し、維持し、行政対応するのはEPC事業者です。

例え話になりますが、私がかつて牡蠣事業をやっていたとき、小売や飲食のプレイヤーがどれだけ優れていても、漁師から牡蠣を仕入れられなければビジネスは成り立ちませんでした。

だからこそ生産者との関係性を維持し、常に信頼関係を築くことを重視していました。

太陽光PPA事業も同じです。
「モノ売り」ではなく「コト売り」であり、そのサービスを支える根幹は「施工力=EPC」です。

地域EPCにとっての新たなビジネスチャンス

全国的にPPAモデルが広がると、施工・保守の現場対応を担える地域EPCの役割はますます重要になります。

オクトパスのような大手が一気に屋根貸しビジネスを拡大する際、地域に根付いた施工会社との提携は不可欠です。

  • 地域ごとに行政手続きや規制対応が異なる
  • 定期メンテナンスや緊急対応は地場業者でなければ難しい
  • 長期にわたる信頼関係構築はローカルEPCの強み

つまり、地域EPCにとっては「単なる施工下請け」ではなく、全国展開する事業者と横並びで価値を発揮できるチャンスが到来していると言えます。

感謝を忘れないこと

当社も施工は協力会社に依存しています。

その協力会社が安全・確実に工事をしてくれるからこそ、私たちはお客様にサービスを提供でき、売上を立てることができます。

施工業者は余っているわけではなく、むしろ人材不足が続く状況です。だからこそ、日々のコミュニケーションや仕組み改善、そして「感謝の気持ち」を忘れないことが最も大切だと感じます。

今回のニュースは、単なるPPAモデルの話を超えて、

「どんなに優れたビジネスモデルでも、それを実装するプレイヤーとの関係性が全て」

ということを改めて教えてくれました。

齋藤 浩昭
AiNERGY株式会社 取締役

著者プロフィール
ソフト開発を経て独立し、ITベンチャーを創業(2004年グリーンシート公開、Deloitte Fast50国内3位)。その後、三陸牡蠣復興支援プロジェクトを立ち上げ、3億円超のクラウドファンディングを実現、国内牡蠣業界の革新にも寄与。
2019年MBA取得。2023年からAiNERGYで再エネ×IT事業を推進中。