みなさん、こんにちは!
今日は、アメリカのエネルギー事情について興味深いレポートを見つけたので、ご紹介したいと思います。自然エネルギー財団が発表した「米国の電力は2035年までに脱炭素へ:自然エネルギーの経済性と技術を生かす」というレポートです。アメリカのエネルギー転換の現状が詳しく分析されていて、日本の未来を考える上でもとても参考になりそうです。
自然エネルギーの急成長
まず驚いたのは、アメリカでの自然エネルギーの急成長です。なんと2010年には全体の10%だった自然エネルギーの比率が、2023年には23%まで増加したそうです。石炭や原子力が減少する一方で、風力発電や太陽光発電が大きく伸びているんですね。
コスト競争力で勝つ自然エネルギー
ここで面白いのが、自然エネルギーのコスト競争力です。レポートによると、陸上風力と太陽光が最も安価な発電方法になっているそうです。特に印象的だったのは、風力と太陽光の発電コストが1MWh当たりそれぞれ50ドルと61ドルなのに対し、原子力は182ドルもかかるという点。これだけ差があれば、経済的に考えて自然エネルギーを選ぶのは当然かもしれませんね。
バイデン大統領の一手、インフレ抑制法
アメリカの自然エネルギー推進に大きな役割を果たしているのが、バイデン大統領が2022年8月に署名したインフレ抑制法(IRA)です。この法律により、自然エネルギー開発プロジェクトへの税制優遇措置が強化されました。政府の後押しで、さらに自然エネルギーの導入が進みそうです。
2022年8月16日、アメリカで成立した「インフレ抑制法(歳出・歳入法)」、通称IRA(Inflation Reduction Act)法。過度なインフレ(物価の上昇)を抑制すると同時に、エネルギー安全保障や気候変動対策を迅速に進めることを目的とした法律。
https://grainsjp.org/report/eth-ira/
蓄電池技術の進化
もう一つ注目したいのが蓄電池技術の進化です。電気自動車の普及に伴って蓄電池のコストが大幅に下がり、電力システムでも活用されるようになってきました。イーロン・マスク氏の戦略が、思わぬところで電力革命を後押ししているようです。
ただし、課題もあります。自然エネルギーの急増に送電網の整備が追いついていないようで、2023年末時点で約2600GWもの発電設備が「接続待ち」状態だそうです。これは日本でも同様の問題があるので、他人事とは思えませんね。
企業の積極的な取り組み
最後に興味深かったのは、企業の動きです。多くの企業が電力購入契約(PPA)を通じて直接自然エネルギーを調達しているそうです。2022年末時点で、企業が契約した77.4GWの電力のうち80%がPPAだったとか。日本企業も似たような動きを見せ始めているので、この傾向は世界的なものかもしれません。
アメリカのエネルギー転換は、技術の進歩と経済合理性、そして政府の後押しによって急速に進んでいるようです。日本も似たような道を辿るのかもしれません。