みなさん、こんにちは!
「2050年カーボンニュートラル」という言葉を耳にしたことがありますよね。これは、2050年までに温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させる、つまり実質ゼロにするという目標です。最近の調査によると、多くの企業がこの目標を真剣に受け止めているそうです。「地球温暖化対策への取り組みや成果がなければ、将来の事業が成り立たなくなる」という危機感があるからなんです。

環境価値市場って何?

さて、ここで登場するのが「環境価値市場」です。聞き慣れない言葉かもしれませんが、CO2削減の取り組みを「価値」として取引する市場のことです。主に「クレジット」と「再エネ証書」という2つの形があります。

クレジットとは

クレジットとは、省エネルギー(省エネ)設備の導入や再生可能エネルギー(再エネ)の活用によるCO2等の排出削減量や、適切な森林管理による二酸化炭素(CO2)吸収量に価値を付け、市場ベースで取引できる形態にしたものです。国内で流通している主なクレジットには、J-クレジットがあります。
https://www.pref.gifu.lg.jp/uploaded/attachment/318928.pdf

再エネ証書とは

再エネにより発電された電気は、電気そのものの価値に加え「発電時の温室効果ガス排出量がゼロである」という付加価値を持っています(再エネ由来の熱も同様です)。このような付加価値の部分を電気から切り離し、付加価値と電力量を紐づけて証書の形態にしたものが再エネ証書です。国内で流通している主な証書には、グリーン電力証書や非化石証書があります。
https://www.pref.gifu.lg.jp/uploaded/attachment/318928.pdf

カーボン・オフセットの仕組み

ここで重要になってくるのが「カーボン・オフセット」という考え方です。これは、企業や個人が、どうしても削減できないCO2排出量を、他の場所での削減・吸収量で埋め合わせる(オフセットする)という方法です。
例えば、ある企業が工場でどうしても1000トンのCO2を出してしまうとします。その企業が、森林保護プロジェクトなどで作られた1000トン分のカーボン・クレジットを購入すれば、理論上、その排出をゼロにできるわけです。
カーボン・オフセットは、環境価値市場の中で重要な役割を果たしています。企業がすぐには削減しきれない排出量を相殺できる一方で、環境保護プロジェクトに資金を提供する仕組みにもなっているんです。

カーボン・オフセットとは

カーボン・オフセットとは、市民、企業、NPO/NGO、自治体、政府等の社会の構成員が、自らの温室効果ガスの排出を認識し、主体的にこれを削減する努力を行うとともに、削減が困難な部分の排出量について、他の場所で実現した温室効果ガスの排出削減・吸収量等(クレジット)を購入すること又は他の場所で排出削減・吸収を実現するプロジェクトや活動を実施すること等により、その排出量の全部又は一部を埋め合わせるという考え方です。
https://www.maff.go.jp/j/kanbo/kankyo/seisaku/climate/jcredit/offset/carbonoffset.html

注目のPPAスキーム

最近、特に注目を集めているのが「PPA(Power Purchase Agreement)」というスキームです。これは、企業が再生可能エネルギーの発電事業者と直接、長期の電力購入契約を結ぶもの。20年くらいの長期契約で、安定した価格で再エネ電力を買えるんです。

さらに、最近では「FIP(Feed-in Premium)」という制度への移行が進んでいて、より柔軟なPPA契約が可能になっているんだとか。これにより、企業は自社の状況に合わせて、よりカスタマイズされた再エネ調達ができるようになっているんです。

PPA(Power Purchase Agreement)とは

PPAモデル(Power Purchase Agreement=電力販売契約)」とは、第3者モデルとも言い、施設所有者が提供する敷地や屋根などのスペースに太陽光発電設備の所有・管理を行う会社(PPA事業者)が設置した太陽光発電設備で発電された電力をその施設の電力使用者へ有償提供する仕組みです。施設所有者、PPA事業者、電力使用者それぞれにメリットがあり、企業の再生可能エネルギーの導入促進に向けた切り札として期待されています。
https://www.sunjunior.co.jp/blog/4488/

FIP(Feed-in Premium)とは

2020年6月に「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(通称:再エネ特措法)」が改正され、その後継である「再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法」において、2022年4月からFIP制度がスタートしました。FIP制度は、認定を取得した再生可能エネルギー(再エネ)発電事業者が卸電力市場などで電気を売った際に、売電価格に一定のプレミアム(補助額)が上乗せされて交付される制度です。
https://denki.marubeni.co.jp/column/fip/

環境価値市場の将来予測

さて、この環境価値市場、今後どうなっていくのでしょうか?調査によると、2023年度の市場規模は442億円。それが2050年度には何と1,763億円に拡大すると予測されているんです。
「4倍か。すごい成長!」と思った方もいるかもしれません。でも、実はこの数字、意外と控えめなんです。なぜかというと…

環境価値取引は「最後の手段」

実は、環境価値の取引は「最後の手段」と位置づけられているんです。つまり、企業はまず自社でCO2削減に取り組むべきで、どうしても削減しきれない分だけ、この市場を使うべきだとされているんです。
だから、市場は確かに成長しますが、それほど爆発的に拡大するわけではない。むしろ「抑制のある市場拡大」になると予想されているんですね。

環境価値市場は、確かに重要な役割を果たします。でも、本当に大切なのは、各企業が真剣にCO2削減に取り組むこと。市場はあくまでそれを補完する役割なんです。

企業だけではなく、私たち一人一人にできることも、たくさんあります。エネルギー消費を減らしたり、再エネ電力を選んだり。小さな行動の積み重ねが、大きな変化を生み出していくのだと思います。