みなさん、こんにちは!
今回は、日本の太陽光発電の普及と、その裏で見逃せない課題である「パネルの寿命とリサイクル」について深掘りしていきます。環境問題に取り組む上で、私たちが知っておくべき重要な話題です。

日本における太陽光発電の急成長

2012年、固定価格買取制度(FIT)の導入をきっかけに、太陽光発電の導入が爆発的に進みました。この制度は、発電した電力を一定価格で買い取る仕組みを提供し、技術革新によるパネル価格の低下や環境意識の高まりが相まって、特に2012年から2015年の間に急成長を遂げました。

驚いたのは、2022年には日本の太陽光発電による年間電力供給量が926億kWhを超え、2011年と比べて約20倍に達したという事実です。この数字は、いかに短期間で太陽光発電が浸透したかを物語っていますね。

しかし、最近では電力買取価格の低下により新規導入は減少しています。それでも累積発電量は増加を続けており、再生可能エネルギーの中で太陽光発電が果たす役割はますます重要になると考えられます。

太陽光発電パネルの寿命とは?

太陽光発電パネルの寿命は通常20~30年とされています。保証期間内では初期性能の80~90%を維持でき、適切な設置環境とメンテナンスを行えば30年以上の運用も可能です。ただし、周辺機器であるパワーコンディショナー(インバーター)は10~15年で寿命を迎えるため、定期的な交換が必要です。

以前、お客様から「太陽光パネルの寿命はどれくらいですか?」と質問された際、このような説明をしました。寿命が長いからといってメンテナンスを怠ると、思わぬトラブルに発展する可能性もあります。やはり、しっかりと知識を持ち、正確に説明できることが大切ですね。

一方で、寿命を迎える前に廃棄されるケースもあります。設計や施工の不具合、自然災害、交換(リプレイス)の必要性など、さまざまな要因で早期廃棄が発生することもあり、これもまた対策が必要な課題です。

大量廃棄時代の到来とリサイクルの現状

2030年代に大量の太陽光パネルが寿命を迎え、年間最大50万トンの廃棄物が発生すると予測されています。これほどの廃棄物が生まれるとなると、環境への影響も大きいはずです。

日本では、現在年間約4,400トンの太陽光パネルが廃棄され、そのうち約3,400トンがリユースされていますが、リサイクルされるのは約1,000トンにすぎません。リサイクル施設の稼働率が低いことや、事業としての採算性が課題となっているため、現時点ではコスト重視の処理方法が優先されているのが現状です。

太陽光発電を扱う事業者として、お客様からの「廃棄するのではなくリサイクルした場合の費用はどれくらいですか?」といった質問に即答できるよう、私たちも最新情報をしっかり把握しておく必要があります。

リサイクル技術の進展

そんな中、希望を感じさせてくれたのがAGC株式会社の取り組みです。太陽光パネルのカバーガラスをリサイクルしてフロート板ガラスを製造する技術を確立しました。この技術により、パネル重量の約60%を占めるカバーガラスが再利用可能となり、天然資源の節約や温室効果ガスの削減に大きく貢献できるようになります。

「ただ廃棄費用を積み立てるだけではなく、リサイクル方法や技術についても知識を深めていくことが重要だ」と改めて感じました。お客様のニーズが変化する中で、私たちも変化に対応する準備が必要です。

太陽光発電は、これからも再生可能エネルギーの柱として期待されています。しかし、大量廃棄時代を迎える前に、リサイクルシステムの整備や技術革新を進めていくことが急務です。
この記事を通じて、日本国内でのリサイクルの課題だけでなく、技術開発の希望も感じられました。AGCの取り組みのような、環境負荷を軽減しながら資源を有効活用する技術は、持続可能な社会を実現するための鍵となります。

私たちも最新の情報をキャッチし、リサイクルの実務について理解を深めていきたいと思います。