みなさん、こんにちは!
これまで、太陽光やソーラーシェアリングといった再エネの「実践」に近い話題を扱ってきましたが、今回は少し視点を変えて、未来のエネルギー像に触れるヒントを探してみました。
きっかけは、大阪・関西万博に関するある記事。そこには、「エネルギーの未来」をテーマにしたパビリオンで、さまざまな次世代技術が紹介されている様子が紹介されていました。
技術というより“可能性”を体験する「電力館」
その中でもユニークだったのが、電力館の「可能性のタマゴたち」というコンセプト。
来場者は首にタマゴ型デバイスをつけて展示を巡り、光や振動でインタラクションを楽しむ仕組み。ゲームとして用意されているのは、「核融合」や「振動発電」など、通常なら専門的すぎる技術の世界。けれど、それを“遊び”の文脈で伝える工夫がされているのが印象的でした。
こうした展示は、エネルギーの知識がない人にも「楽しい」と感じてもらえるきっかけになるはずです。
都市の屋根を塗り替える?ペロブスカイト太陽電池の未来
記事を読みながら「これは面白い」と感じたのが、ペロブスカイト太陽電池に関する展示。
都市の風景を模したスクリーンに、パネルを設置できそうな屋根や壁をタップして“青く塗っていく”というゲーム。この軽やかな仕掛けで、「都市のあらゆる場所が発電所になりうる」未来をイメージさせてくれるのがいいなと思いました。
軽量・柔軟な特性を活かし、既存の建築物に組み込めるこの技術。私たちの暮らしの中で、エネルギーを“増やす”選択肢になりそうです。
CO2をオバケに見立てるXR体験「eメタン」の展示
一方、ガス業界の展示では、「eメタン」という次世代ガスを主役にしたXR(AR+VR)体験が展開されていたそうです。
印象的だったのは、温暖化の原因であるCO2を“オバケ”として擬人化し、それに対抗するヒーロー「eメタン」が登場するというストーリー性。こうした見せ方は、特に子ども世代への教育効果が高そうですし、専門技術の理解がグッと近づく良い工夫だと感じました。
人工光合成やギ酸といった“遠いけど希望のある技術”
大阪公立大学と住宅大手の共同展示では、「人工光合成」や「ギ酸を使った家庭内エネルギー循環」など、研究段階の技術が紹介されていたようです。
正直、現時点では自社事業との直接的な関連性は薄そうに思えました。ですが、「エネルギーをどのように貯めて・運び・使うか?」という問いに対して、バッテリー以外の選択肢(エネルギーキャリア)を提示するこの流れには、大きな可能性を感じます。
“探索”と“深耕”を分けて考える大切さ
今回の万博関連の展示内容を通じて改めて感じたのは、技術には「探索」と「深耕」があるということ。
人工光合成やeメタン、Power to Xなどの新技術は、今は収益を生まない“探索”のフェーズにあります。一方で、BESS(蓄電池)やエコキュートのような“深耕”すべき技術は、すでに実用化が進んでおり、今後の導入拡大が鍵になりそうです。
どちらも大事。けれど、事業としてどこに力を注ぐべきかは常に意識しておきたいポイントですね。
「可能性のタマゴ」に触れ続ける姿勢を
今回の万博では、最新の次世代技術が「可能性のタマゴ」として紹介されていました。
こうした技術は、いつ・どのようにブレイクスルーするかわかりません。けれど、“未来が少し見える”感覚は、私たちの事業や思考に新しい刺激をくれるものだと思います。
だからこそ、実務で深耕を続けつつも、未来のタマゴに目を向ける余白を持ち続けたい。そんなことを思わせてくれる内容でした。