みなさん、こんにちは!
再生可能エネルギーの導入が加速する一方で、課題となっているのが「出力制御」です。特に九州を中心とした西日本エリアでは以前から問題視されていましたが、近年では他のエリアにも拡大しています。実際に弊社のある東北でも2025年1月時点で出力制御量が2.2%に達しており、もはや特定地域だけの問題ではありません。
今回は、蓄電池併設型太陽光発電所を対象とした新しい電力アグリゲーションの取り組みと、出力制御を効率的に抑えるための方法について考えてみたいと思います。

出力制御が広がる背景

出力制御とは、太陽光や風力発電の電力供給が需要を上回るときに、系統の安定を保つため発電を抑制する措置です。本来なら再エネの発電量を最大限活かしたいところですが、需給バランスを崩さないためにやむを得ず実施されています。
ただし、ここで重要なのは「再エネ導入を抑えることでは問題解決にならない」という点です。むしろ導入量を維持・拡大しつつ、いかに効率的に制御できるかが問われています。

蓄電池+アグリゲーションの可能性

今回、株式会社パワーエックスが開始した「蓄電池併設型太陽光発電所向けアグリゲーションサービス」は、この課題を解決する有力な手段です。
蓄電池を併設することで、日中の余剰電力を一時的に蓄え、需要が高まる夕方や夜間に供給できます。これにより出力制御の必要性を減らすだけでなく、FIP制度に移行すれば市場価格に応じた収益拡大も期待できます。
EPC事業者にとっては、太陽光+蓄電池の最適容量設計や、アグリゲーターが活用しやすい制御システムの導入提案がますます重要になっていくでしょう。

出力制御を効率化する4つの視点

出力制御の「削減」ではなく「効率化」によって再エネ普及を止めない。そのために考えられるのは次の4つの方向性です。

1
オンライン制御の普及

出力制御を受けた際、従来は現地で発電所のON/OFF操作が必要でした。これを遠隔操作できる「オンライン制御」を導入することで、制御の精度と効率が向上します。

2
火力発電の最低出力引き下げ

系統に一定の火力発電を残す必要があるため、最低出力を下げられれば再エネをより多く受け入れられます。

3
蓄電池の増設

今回のように発電所に大規模蓄電池を併設するだけでなく、分散型蓄電池を地域に広げることも有効です。

4
ヒートポンプによる需要創出

電力需要が低い時間帯に、ヒートポンプを稼働させて熱エネルギーとして活用することで、電力消費をシフトできます。

EPC事業者に求められる新たな役割

出力制御の効率化には、発電所だけでなく「需要家」「アグリゲーター」「電力市場」すべてをつなぐ仕組みが欠かせません。単なる施工だけでなく「市場で価値を生む再エネ設備づくり」が、今後の競争優位を左右していきそうです。

出力制御を次の成長機会へ

出力制御は一見「再エネ拡大の壁」のように思えますが、蓄電池やアグリゲーション、需要創出の仕組みと組み合わせれば、新たな成長のチャンスでもあります。
再エネの主力電源化に向けて、EPC事業者は現場で培った技術力と柔軟な提案力を武器に、次世代のエネルギーシステムを支える大きな役割を担っていくことになるでしょう。