みなさん、こんにちは!
台湾で「原発再稼働」をめぐる住民投票が行われましたが、結果は否決。5月に原発ゼロを達成したばかりの台湾で、エネルギーのあり方をめぐる議論は続いています。
ニュースを読みながら「日本より電気代が安いのに、原発ゼロってどうして可能なんだろう?」と、とても気になりました。

台湾はなぜ「原発ゼロ」を実現できたのか

台湾の電源構成を見ると、実は「天然ガスと石炭」が大きな役割を果たしています。

天然ガス約40%
石炭約35%
再エネ約8〜10%

再エネ比率はまだ低めですが、洋上風力や太陽光が急拡大中。外資や大手財閥が参入し、建設コストが下がったことも追い風になっています。
つまり台湾は「化石燃料+再エネ拡大」という現実的な組み合わせで、原発ゼロを実現しているのです。

電気代が日本より安い理由

さらに驚くのは「電気代が日本より安い」という点。これには2つの大きな要因があります。

1
燃料調達の違い

国営の台湾電力が長期契約でLNGや石炭を一括購入。日本のように自由化で分散せず、コストが安定。

2
料金の政治的抑制

電気料金は国が抑え、赤字は台湾電力が抱える仕組み。つまり「安さ」は税金や国の負担で維持されている部分も大きいのです。

この点は、単純に「原発ゼロでも電気代が安い」とは言えず、背景に政治的な判断があることがわかります。

住民投票で「再稼働否決」となった背景

それでも住民は再稼働を選びませんでした。その理由は…

1
安全への不安

台湾も地震多発地帯。福島の事故の影響も強く残っています。

2
有事リスク

中国との緊張でLNG輸入が止まる懸念もある中、「それでも原発は嫌だ」という感情が勝った。

まさに「安定供給」と「安全性」の板挟みです。

世界の「原発ゼロ成功国」に学ぶ

では、原発ゼロで再エネを高比率にしてうまくいっている国はあるのでしょうか?
調べると、次のタイプに分けられることがわかります。

アイスランド・ノルウェー型水力・地熱といった安定出力型の再エネが主役
デンマーク・ポルトガル型風力中心だが、周辺国との連系で安定化
ウルグアイ型国営が主導し、長期契約で民間投資を呼び込むモデル

共通点は「調整力を持つ再エネ」か「強力な連系」か「市場設計の巧さ」。これが欠けると原発ゼロは難しい、という現実が見えてきます。

日本へのヒント、分散型再エネと地域循環

では、日本はどうでしょうか。地熱や小水力など、出力が安定する再エネ資源はまだまだ活用の余地があります。さらに蓄電池やバイオマスとの組み合わせで調整力を持つ電源を地域ごとに整備することが可能です。
加えて、ウルグアイのような「長期PPA(電力購入契約)」の導入、そして「地域マイクログリッド」による地産地消が重要になります。

台湾の例を見て感じたのは、「原発ゼロが可能かどうか」ではなく、「どんな仕組みで持続可能な電力を支えるか」が本当の論点だということです。
それぞれの国が持つ地域特性を活かし、複合的にエネルギーを組み合わせることにこそ、日本の再エネ業界が進むべき道があると思いました。