みなさん、こんにちは!
岩手県八幡平市で、市内の全小中学校と国際学校が「地熱100%の電力」に切り替えたというニュースがありました。環境への貢献だけでなく、子どもたちの学びにもつながるという点で、とても興味深い取り組みです。

学校の電気が「地熱100%」に

八幡平市の14の小中学校、そしてハロウインターナショナルスクール安比ジャパンでは、使用する電力をすべて地熱由来のものに切り替えました。電力は地元の地域新電力「はちまんたいジオパワー」から調達。これにより、CO₂排出を大幅に減らしながら、地域資源を活かすことができます。
単に「再エネを使っている」だけでなく、子どもたちが自分の学校の電気がどこから来ているかを意識できるのは、とても貴重な経験だと思います。

「地熱探検隊」で学ぶエネルギーの姿

八幡平市では、毎年「地熱探検隊」という学習プログラムを実施しています。子どもたちは地熱発電所や、温泉熱を使ったバジル栽培施設を訪れ、実際に「地熱が地域を支えている」ことを体感します。
柏台小の山村淳校長は「ただ電気を使うだけでは地熱を地域の財産と感じにくい。温泉の匂いや、地熱で成り立つ仕事に触れることが、子どもたちにとって大切な経験になる。」と話しています。これは単なる理科の授業を超えて、「ふるさとを誇りに思う教育」になっているのだと感じます。

日本の地熱発電、なぜ広がらない?

実は日本は世界第3位の地熱資源国で、理論的には2,000万kW以上の導入が可能とされています。ところが実際の導入量は60万kW程度にとどまり、全体の発電量の0.3%にしかなりません。
その理由は、国立公園規制や温泉との利害調整、開発に10年以上かかる長いリードタイム、そして資金リスクなど。つまり「資源はあるのに使えない」という状況が続いています。
だからこそ、八幡平市のように「教育から理解を育てること」がとても重要です。知識や理解が広がれば、将来の合意形成や担い手育成にもつながるからです。

八幡平市の事例を日本全体の再エネ教育に広げるには?

八幡平市のような取り組みを全国に広げるには、いくつかの工夫が必要です。

1
地域の特色ある再エネを教材にする

八幡平では地熱ですが、他の地域では小水力や風力、バイオマスなど、地元にあるエネルギーを題材にできます。子どもが「自分の町の電気」を学ぶことが大切です。

2
学校と地域新電力の連携

八幡平のように、学校の電力を地域新電力から調達する仕組みは「電気を学びの教材」にできる実例。これを全国に展開すれば、教育と地域経済の両立につながります。

3
探検学習・体験学習の普及

発電所見学や地域のエネルギー利用を体感できる学習プログラムを各地で整備すれば、「電気をただ使う」から「電気を理解する」への意識転換が進みます。

4
国や自治体の支援

教育カリキュラムに「再エネと地域資源」の要素を盛り込むことや、地域新電力を活用した学校電源切り替えを後押しする政策があれば、全国に広がりやすくなります。

つまり、地域ごとに最適な再エネを「教材」に変え、教育・地域電力・政策を組み合わせていくことが、日本全体での再エネ教育拡大のカギになると思います。

未来を担う子どもたちへの投資

地熱や再エネの普及は技術や制度だけでなく、人の理解や意識によって進む部分が大きいものです。八幡平市の「地熱のまちづくり」は、子どもたちを通して地域の未来を育てる取り組みだといえるでしょう。
私たちの地域でも、こうした教育とエネルギーを結びつける取り組みがもっと広がってほしいと思いました。