みなさん、こんにちは!
三菱商事など大手が洋上風力事業から撤退するというニュースがありました。理由は「資材価格の高騰」と「安値落札による採算割れ」。
日本の再エネ戦略の柱とされた洋上風力に黄信号がともる一方で、「次にどんな技術や仕組みが広がるのか」が注目されています。
米国では「補助金なし」でも成長する再エネ
参考になるのはアメリカの事例です。米国では太陽光や風力の補助金が縮小されましたが、発電コストが十分に下がったことで市場は自立して成長を続けています。
一方で日本はまだ制度依存度が高く、競争入札の「安値競争」が事業の持続性を損なう構造になっています。ここは業界全体での制度見直しが不可欠だと感じます。
日本の洋上風力は「安値競争の限界」に直面
洋上風力は国の大型目標でしたが、事業リスクが高まり撤退が相次ぎました。
- 資材・施工コストの高騰
- 系統接続費用の負担
- 安値落札による採算割れ
こうした課題は、「無理な価格での設計・施工は続かない」ことを示しています。
今後は安さよりも、確実に稼働し利益を出せる案件設計が重視されるでしょう。
次の主役は大規模蓄電池とデマンドレスポンス
短中期で現実的に拡大するのは、大規模蓄電池とデマンドレスポンスです。
再エネの余剰電力を貯め、需要の多い時間帯に供給することで系統を安定化。東北・北海道のような送電制約エリアでは特に重要になります。補助金拡大も見込まれ、投資先として注目度が高まっています。
工場やビル、家庭の電力使用を一時的に調整する仕組み。投資負担が軽く、EPCにとってはEMS(エネルギーマネジメントシステム)や制御機器の導入案件が広がる可能性があります。
この2つを組み合わせることで、「即応性+持続性」を備えた調整力が生まれ、アグリゲーター事業の中核を担うようになるでしょう。
アグリゲーターとの連携がカギ
アグリゲーターは、分散するリソース(再エネ、大規模蓄電池、デマンドレスポンス)をまとめて市場に提供する役割を担います。
EPC事業者にとっては、
- アグリゲーターが扱いやすい設備仕様を標準化する
- 新設案件は「DR Ready対応」を前提に設計する
- 大規模蓄電池+太陽光のハイブリッド提案を増やす
といった視点が競争優位性につながります。
分散型エネルギーと協調戦略へ
日本政府は再エネ導入目標を落とすことはできません。
だからこそ、
- 屋根上太陽光や地熱など分散型再エネの推進
- 大規模蓄電池・デマンドレスポンスによる需給調整力の強化
- EPC・アグリゲーター・地域新電力の三者連携
が求められます。
大規模案件だけでなく、「地域の自立的な電力システム」をどう作るかが重要なテーマになるでしょう。
再エネの未来を支える「次の一手」
洋上風力の撤退は終わりではなく、次のフェーズへの転換点です。
EPC事業者にとっては、「発電所を建てる」から「需給調整に貢献する仕組みをつくる」 へと役割が広がるチャンスでもあります。
これからの鍵は、大規模蓄電池とデマンドレスポンス、そしてアグリゲーター。
制度が変わる中で、どのように設計・施工に落とし込むかが勝負どころだと感じます。