みなさん、こんにちは!
再生可能エネルギーの導入を進めるうえで、最初の関門となるのが「どこに発電所を建てるか」です。
特に太陽光発電では、農地や遊休地をどう活用するかが大きなテーマであり、候補地を見つけるまでに膨大な時間と労力がかかっていました。
そんな中、シーラソーラーがAIを活用した「発電所適地判定システム」を稼働させたというニュースがありました。
候補地選定が10分の1の時間に

出典:シーラソーラー、東京大学発AIスタートアップと共同開発した「農地ビッグデータ活用 発電所適地判定システム」を本格導入
従来は、農地の区分や地目、ハザードマップ、送電網の空き容量などを担当者が一件ずつ調査していました。そのため、候補地探しには非常に時間がかかり、開発のスピードを鈍らせる要因となっていました。
しかし、この新システムでは、農地情報や航空写真、災害リスクなどを一括でAIが分析。条件を満たす土地を自動的に抽出し、地図上にリスト化できるようになったのです。
結果として、候補地選定のリードタイムは約10分の1に短縮。さらに網羅的にスクリーニングできるため、見つかる候補地の絶対数も増加しました。まさに「スピードと量」の両立が実現されたわけです。
将来的にはさらに高度化
今後は日射量や気象データ、土地の傾斜角度といった要素も判定に組み込まれ、精度の高い選定が可能になるとのことです。さらに、衛星画像を活用した詳細な解析や発電量シミュレーションまで実装予定だそうです。
この進化が実現すれば、「候補地探し」から「発電量の見通し」まで一気通貫で行える未来が近づいていると言えるでしょう。
EPC事業者にとっての実務的メリット
EPC事業者(設計・調達・施工を担う事業者)にとって、用地選定は案件化のスピードを左右する重要な工程です。
- 候補地の調査工数を大幅に削減できる
- 他社より早く優良な土地を押さえられる
- 将来的にDR(デマンドレスポンス)やBESS(蓄電池)を組み合わせた
「DR Ready」な設計提案 へと発展できる
つまり、AIを活用した適地判定は、単なる業務効率化にとどまらず、競争優位性の確保に直結します。
自治体側から見たメリット(地方創生や防災拠点化)
この仕組みは、EPCや事業者だけでなく自治体にとっても大きな価値をもたらします。
遊休地や農地を発電所用地として活用することで、地域への新規投資や雇用が生まれます。特に過疎化が進む地方では、再エネ事業の誘致が「地域経済の新しい柱」となる可能性があります。
発電した電力を地域の公共施設や学校、防災拠点に優先的に供給すれば、エネルギーの地産地消を進めながら、地域のレジリエンス(災害対応力)も高まります。
蓄電池と組み合わせれば、停電時でも避難所や医療施設に電力を供給可能。自治体にとっては「再エネ導入=地域の防災力強化」として説明しやすくなります。
AIによる候補地選定は、自治体にとっても「地域課題解決」と「持続可能な発展」の両立を支えるツールになりうるのです。
農業との共存(営農型太陽光)
再エネ候補地の多くは農地と重なります。ここで重要になるのが「営農型太陽光(ソーラーシェアリング)」です。
架台の高さやパネルの配置を工夫すれば、下で農作物を育てながら上で発電が可能です。農地を転用するのではなく「農業+発電」の両立を目指せます。
農業収入に加え、売電収入が得られることで経営の安定化につながります。特に高齢化や担い手不足が進む農村部にとっては、持続可能性を高める有効な選択肢になります。
営農型太陽光は「農業を守る再エネ」として住民の理解を得やすく、地域ぐるみでの取り組みに発展する可能性があります。
AIによる候補地判定が進化すれば、「営農に適した土地+発電に適した土地」を同時に抽出できるようになるかもしれません。そうなれば、農業と再エネの本格的な共存が現実のものになりそうです。
私たちが感じる未来の可能性
「候補地探し」という泥臭い部分にAIが入ってくるのは、とても頼もしいと感じました。再エネ拡大のボトルネックは「系統問題」や「用地確保」と言われますが、そのひとつが大幅に改善される可能性があるからです。
今後、EPC事業者は発電所そのものの設計だけでなく、アグリゲーターや自治体と連携しながら、「土地+再エネ+蓄電池+需給調整」を一体で提案できる力が求められていくのだと思います。
AIを使った適地判定は、その第一歩と言えるでしょう。