みなさん、こんにちは!
今日は次世代太陽電池の中でも注目度の高い「ペロブスカイト太陽電池」に関するニュースをご紹介します。
経済産業省は、ペロブスカイト太陽電池の量産確立を支援する補助金を大幅に増額。これまで対象だった「フィルム型」「ガラス型」に加え、新たに「タンデム型」も補助対象としました。
タンデム型とは?
近年注目を集めている「ペロブスカイト太陽電池」は、従来のシリコン型パネルに比べて軽く、柔軟で、しかも発電効率が高いのが特徴です。経済産業省も国の「グリーンイノベーション基金」を活用して支援を拡大しており、総額800億円規模の補助金を投入。
特に今回新たに補助対象となった「タンデム型」は、既存のシリコンパネルの上にペロブスカイト層を重ねて発電効率を高める仕組みで、既存の架台や配線をそのまま活用できるため、置き換えやアップグレードが進めやすいという特徴があります。
出力制御の課題と新しい解決アプローチ
日本の太陽光発電は急速に増えた一方で、余剰電力を系統に流せず「出力制御」で止めざるを得ないケースが増えています。
高効率のタンデム型を導入すれば「もっと稼げる」と思えますが、出力制御がかかるエリアでは発電量がそのまま収益につながらないリスクもあります。
そこで重要になるのが、
- 蓄電池との組み合わせ
- 企業や地域での自家消費利用
- 系統運用の高度化(アグリゲーションなど)
発電効率向上と同時に、電力を無駄にしない仕組みづくりが求められます。
投資回収モデル、FIT満了期設備の活用
事業者視点では「投資回収モデル」が重要です。
特にFIT(固定価格買取制度)満了期を迎える既存設備にタンデム型を導入することで、残存FIT期間中に投資を回収できるかどうかが大きな判断材料になります。
シミュレーションでは、配線や架台を流用できる点が強みとなり、設備更新のハードルを下げられる可能性があります。出力制御を踏まえた上で、「残存FIT期間でペイできるか」 という実務的な検討が今後増えるでしょう。
EPC・事業者が取るべき戦略
EPCや再エネ事業者にとっては、タンデム型の普及は新しい商機となります。
FIT満了設備へのタンデム型導入パッケージを商品化。
出力制御リスクを和らげるため、BESSやVPPサービスを併せて提供。
投資回収や発電量改善の試算を可視化し、地主・企業にアプローチ。
単なるパネル販売ではなく、「再エネ+ストレージ+データ運用」の複合ソリューションに発展させることが差別化につながります。
地方自治体や企業から見たメリット
ペロブスカイトやタンデム型の普及は、自治体にも恩恵をもたらします。
公共施設に導入することで停電時にも電力を確保でき、住民の安心につながる。
効率が上がることでこれまで収益性が低かった地域でも再エネ事業が成立しやすくなる。雇用や企業誘致にも波及効果。
需要家である企業にも次のような効果があります。
RE100やESG投資の流れに沿って脱炭素経営を実現。
発電効率向上による自家消費で電気代を抑制。
特に製造業や大規模施設では、コスト削減とブランド価値向上の両立が可能です。
社会全体に広がるインパクト
まだ産業用途が中心ですが、量産化が進み価格が下がれば、一般家庭にも広がる可能性があります。
屋根のタンデム型パネルとEVを組み合わせ、「家庭で電気をつくってためる」生活が当たり前になる日も近いかもしれません。
ペロブスカイト太陽電池、とりわけタンデム型は、多面的な価値を持っています。
日本が本格的に普及を進めれば、エネルギー問題の解決だけでなく、社会全体の仕組みを変えていく可能性があると思います。