みなさん、こんにちは!
今回は、トヨタ自動車東日本が主導する「太陽光の余剰電力を系列企業間で融通する仕組み」についてご紹介します。一見するとトヨタグループ内の取り組みに思えますが、これを地域に広げていくことで、再エネの地産地消や地域循環型のエネルギーモデルにも発展できる可能性があります。

トヨタ系列内で始まった「余剰電力の融通」

トヨタ東日本が主導する「東北自動車産業グリーンエネルギー普及協会(TAGA)」は、工場屋根上に設置された太陽光発電の余剰電力を系列企業間で融通するサービスを開始しました。第一弾としてアイシン東北の工場余剰を引き取り、他の自動車関連企業へ供給する形です。

この仕組みは小売電気事業者が仲介する「物理融通モデル」に該当します。TAGAが需給管理を担うことで、実際に「余剰電力を系列内で有効活用している」実感を持てる仕組みになっています。

そのままでは「地域融通」ではない

ただし今回の事例はあくまでTOYOTA系列内の電力融通であり、地域の工場や中小企業を含んだ「地域内エネルギー循環」とは少し異なります。地理的にも離れた工場間をつなぐため、実際には「系列の効率化モデル」としての性格が強いと言えるでしょう。

地域に応用するなら2つのステップ

それでも、この仕組みは地域エネルギー循環に応用できる可能性を秘めています。
その際は次の2段階での展開が現実的です。

1
短期:環境価値モデル(小売免許不要で導入ハードルが低い)

・余剰電力は市場(JEPX)に流し、売電収入は従来通り確保
・発電に伴う「非化石証書・トラッキング証書」だけを地域企業に提供
・企業は「◯◯地域産再エネ100%」をアピール可能

2
中長期:物理融通モデル(EPC事業者や自治体と連携した「地産地消モデル」へ発展可能)

・小売事業者が余剰を買い取り、地域内の需要家へ直接供給
・需給管理やインバランス対応を行うことで「リアルな電力融通」を実現
・地域の太陽光・BESS(蓄電池)を束ね、防災やエネルギー自立にも貢献

地域エネルギー循環への展望

今回のトヨタ系列内の取り組みは「余剰電力の無駄を減らす」実務的な仕組みですが、これを地域レベルに拡張すれば「再エネの地産地消」や「地域エネルギー循環」の大きな一歩になります。

短期的には「環境価値モデル」、中長期的には「物理融通モデル」へ。
こうしたステップを踏むことで、再エネの地産地消は現実味を帯びていくのではないでしょうか。