みなさん、こんにちは!
今回は「国内初の24/7カーボンフリー電力の実証実験」をご紹介します。
再エネを活用して「常にCO2を排出しない電力を供給する」という壮大な取り組みが始まりました。これまで「年間で再エネ100%」と表現されることはあっても、時間単位でカーボンフリーを担保する仕組みは国内では初めてです。

出典:株式会社まち未来製作所 プレスリリース 2025年9月4日、「まち未来製作所、アグリゲーターとして国内初!24/7カーボンフリー電力のトラッキング実証を開始」
24/7カーボンフリー電力とは?
「24/7カーボンフリー電力」とは、1日24時間・週7日間、常にCO2排出ゼロの電力を供給することを意味します。例えば、昼間は太陽光発電、夜は風力や蓄電池を組み合わせることで、常にカーボンフリーを実現するイメージです。
今回の実証実験では、第三者であるアグリゲーターがリアルタイムで監視・検証を行う点が大きな特徴です。これにより、透明性のある「再エネ証明」が可能になります。
国際認証「I-REC」を活用したトレーサビリティ
実証の肝は、電力の追跡性(トレーサビリティ)を高める仕組みです。
需要側データと再エネ発電側データを第三者が統合
30分単位で発電時間を記録する「I-REC」を活用
第三者機関が証書を発行・検証し、不正や二重計上を防止
これにより「どこで、いつ発電された電力なのか」をリアルタイムで証明できるようになります。従来の「トラッキング付き非化石証書」では補えなかった時間精度を改善する狙いがあります。
なぜ重要なのか?
これまで日本では「年間で再エネを◯%導入」というマクロ的な指標でしかカーボンフリーを語れませんでした。しかし実際には、夜間や曇天時などに火力発電に頼る時間帯があり、「実質100%再エネ」と言いつつも実際の電力は混ざっていました。
24/7カーボンフリーの仕組みは、時間単位でのカーボンフリー証明を可能にし、より厳格で国際基準に即した再エネ利用を実現します。
Googleや大手企業の挑戦
実は「24/7カーボンフリー」は海外ではすでに大手企業が積極的に取り組んでいます。
2030年までに世界中の拠点で「24/7カーボンフリー電力」を実現する目標を掲げています。データセンターなどで常に再エネ電力を利用するため、風力・太陽光・蓄電池などを組み合わせ、時間単位での調達を進めています。
2050年までに「炭素実質排出量ゼロ経済の実現」を目指す中で、電力調達においても24/7を重視。透明性の高い電力トラッキングを導入しています。
欧州を中心に、RE100加盟企業の中でも「年間100%再エネ」から「24/7カーボンフリー」へとシフトする動きが広がっています。特に金融やIT大手は、ESG投資家からの評価を意識して時間単位の調達に踏み切っています。
これらの動きは、世界的に「再エネ導入の量」から「再エネ利用の質」へと評価基準が変化していることを示しています。
EPCや事業者が注目すべきポイント
業界にとっても大きな示唆があります。
- EPC事業者は、太陽光や風力だけでなく蓄電池との最適制御提案が必須になる。
- 小売電気事業者は、需給データ管理や証書発行における第三者認証対応を迫られる。
- 企業需要家にとっては、「24/7カーボンフリー調達」の導入が国際的なESG評価で優位性を生む。
つまり、単なる「発電所の建設」から「トレーサビリティまで含めた再エネソリューション」への進化が求められるフェーズに入ったと言えます。
地域や企業への広がりに期待
この実証はまだ始まったばかりですが、もし普及すれば「地域単位の24/7カーボンフリー」や「企業単位での厳格な再エネ調達」が現実になります。例えば、自治体が防災拠点で24/7カーボンフリーを実現したり、製造業が国際サプライチェーンで「時間単位のカーボンフリー利用」を証明するなど、新しい価値の提供が可能になります。
今後、制度やインフラ整備と並行して、この取り組みが全国に広がっていくことに大きな期待が寄せられます。