みなさん、こんにちは!
今日は環境省が発表した「人工光合成の工程表」について取り上げます。
2040年に燃料などの原料を量産化することを目指すという内容で、脱炭素社会に向けて大きな一歩となりそうです。
人工光合成とは?
植物が光合成で「太陽光+水+二酸化炭素」からデンプンなどを作り出すのはご存知の通り。
人工光合成はこれを工業的にまねて、CO2と水を資源に変え、燃料や化学品をつくる技術です。
つまり「石油を掘らずに燃料やプラスチックを生み出す」仕組みであり、化石資源に頼らない持続可能な産業の柱になり得ます。
どんなものができるの?
人工光合成の応用先として想定されているのは
- 航空機や船舶用の代替燃料(SAFなど)
- プラスチックや繊維などの化学素材
- 肥料、医薬品、塗料、溶剤、ゴム製品
といった幅広い分野です。
「石油がなくてもつくれる」というのは本当に画期的ですね。
温暖化対策としての意義
人工光合成は、ただ「資源をつくる」だけではありません。
- 工場や発電所から出るCO2を資源として活用できる
- 将来的にはDAC(Direct Air Capture、大気中のCO2回収)と組み合わせ、
大気中のCO2削減にも寄与
つまり、排出されるはずのCO2を循環させて別の製品に変えることで、温暖化対策そのものになるのです。
実用化に向けた課題
もちろん課題もあります。
- 大規模化するにはコストがまだ高い
- 反応を進めるために大量の電力が必要
この「電力」をどう賄うかが最大のポイントになります。
もし化石燃料由来の電気を使えば本末転倒。人工光合成を環境へプラスにするには、再エネ電力の供給が不可欠です。
再エネ事業との関係
ここで、私たち再エネ事業者の出番です。
人工光合成が広く普及するには、膨大な再エネ電力を安定的に供給できる体制が前提になります。
- 太陽光・風力+蓄電池の組み合わせ
- 再エネを「人工光合成向け」に優先的に供給するPPAスキーム
- 将来的には地域ごとに人工光合成プラントと再エネ電源がセットで立地
こうした展開は、EPCや事業者にとって新たな市場機会となるでしょう。
私たちの生活にどう影響する?
人工光合成が実用化すれば、こんな未来が見えてきます。
- 飛行機や船が「CO2由来の燃料」で飛ぶ・走る
- プラスチックや化学繊維が「石油を使わず」作られる
- 大気中のCO2を吸収して資源化 → 地球全体のCO2濃度が下がる
日常生活の裏側でエネルギーや素材の“出どころ”がガラッと変わり、石油に依存しない暮らしが現実になるかもしれません。
再エネと人工光合成の二人三脚
人工光合成は、脱炭素社会を支える「次の切り札」となり得る技術です。
ただし、その実力を発揮するには再エネ電力が不可欠。
再エネの導入拡大と人工光合成の開発はまさに「車の両輪」であり、この二つがかみ合ったとき、日本のエネルギー構造や産業のあり方は大きく変わるでしょう。