みなさん、こんにちは!
今回は、「食料自給率50%以上」をテーマにした記事をもとに、食料政策と私たちの暮らしの関係について考えてみましょう。食の安全保障が叫ばれる中で、私たちは何を目指すべきなのでしょうか。

コメ価格の高騰はなぜ起こった?

最近、コメの価格が上がったことを実感している方も多いのではないでしょうか。2023年産コメの需給がわずか5%ずれただけで、市場に大きな影響を及ぼしました。具体的には、供給が少し減り、需要が増加したことで、流通や備蓄が追いつかなくなり、結果的に価格が急上昇したのです。この5%の差が引き起こす変動の大きさには驚きますが、それだけ国内の需給バランスが敏感だという現実を改めて感じます。

このような価格の変動が起こる背景には、農家の減少や気候変動による影響、そして需要の変化が影響しています。また、備蓄体制の整備や市場の安定供給を考えると、より効率的な農業支援策が求められているとも言えるでしょう。

食料自給率50%は可能なのか?

衆議院選挙では「食料自給率50%」を掲げる政党も見られ、注目されていますが、この目標が実現可能かどうかは慎重に考える必要があります。日本は輸入に依存する食材も多く、国内での大規模な生産体制を整えるためには、農地の確保や施設の整備、さらには人材育成などに多額のコストと労力が伴います。また、国内生産を増やすことは理想的ですが、それだけで自給率を上げるのは難しい場合も多いです。

そこで注目されるのが「食料自給『率』」ではなく「食料自給『力』」の強化という考え方です。これは単に国内生産を増やすだけでなく、農地を軸とした農業生産基盤を整え、食料を安定的に供給できる力を強化するというもの。長期的な視野で農業の仕組みや支援策を見直し、持続可能な形を目指していかなければなりません。

食料価格高騰の対策には何が必要か

食料自給率を上げることが即座に食料価格の抑制につながるわけではありません。むしろ、国内産化が進むことでコストが増加し、消費者の負担が増えることも考えられます。ですので、重要なのは「どのように食の安定を保ちながら、消費者にとっても負担を軽減するか」を考えることです。

例えば、輸入品に対する適切な関税や、緊急時の備蓄体制の充実が重要となります。また、消費者のニーズに対応した国産品の供給を拡大することで、価格競争力を高めると同時に安定供給を図ることも必要でしょう。長期的な視点を持ちながら、食料の安定確保に向けた取り組みを進めることが肝心です。

強い農業を目指して

食料自給力の強化には、強い農業経営体の育成が欠かせません。これには、農業の経営規模の拡大や、IT技術を活用したスマート農業の導入が重要となります。効率を上げることで生産性を向上させ、収益を安定させることが目指されます。

しかし一方で、零細農家や過疎地域における農業維持にも特別な支援が必要です。産業としての農業の問題と地域政策としての農村の問題は切り分けて考えるべきですが、地域社会を支える農家を守ることが、持続可能な農業を実現するためには欠かせません。地方に根差した農業支援策や、環境に配慮した生産体制の構築も重要な視点となります。

食料自給力の向上を目指すには、消費者と生産者、政策と現場が一体となった取り組みが必要不可欠なのだと思います。