みなさん、こんにちは!
今日はアジアで注目を集めている「渋滞税」についてお話しします。旅行や出張で東南アジアを訪れたことのある方は、現地の交通事情に驚いた経験があるかもしれません。今回はそんなアジアの交通事情と、その改善を目指す取り組みを掘り下げていきます。

「渋滞税」って何?その導入背景

渋滞税とは、都市中心部に入る車両に課される通行料のことで、交通渋滞を緩和し、大気汚染や温室効果ガスの排出削減を目指した制度です。この取り組みは、経済成長や人口増加による都市問題を解消しようとする試みでもあります。
たとえばインドでは、デリーの中心部13カ所で渋滞税を導入予定で、朝と夕方の混雑時間帯に徴収する計画です。タイのバンコクでは、2025年中に1日40~50バーツ(約180~225円)の課税が予定されています。この税収は公共交通の運賃引き下げに使われ、市民が鉄道を利用しやすくなる環境を整えることを目的としています。さらにベトナムのハノイでは、渋滞税だけでなく、2030年までに特定地域で電動車以外の車両を禁止する計画も進められています。
これらの事例からもわかるように、渋滞税は単なる課税ではなく、都市インフラや住民の生活の質を向上させるための戦略的な取り組みです。

アジアの交通事情、なぜ渋滞が起きるのか?

東南アジアの都市で渋滞が特に深刻なのは、経済成長に伴う都市部への人口集中が原因です。しかし、鉄道やバスなどの公共交通インフラの整備が追いついていないため、車やバイクに頼らざるを得ない状況が続いています。
ホーチミンでは、車よりもバイクが圧倒的に多く、道路には数え切れないほどのバイクが走っています。もしバイクから車にシフトする人が増えたらどうなるのかを考えると、街全体が完全に機能不全に陥ってしまうかもしれません。
また、こうした慢性的な渋滞は市民にとって時間的・経済的な損失をもたらすだけでなく、大気汚染や騒音といった健康への悪影響も引き起こします。渋滞税は、こうした負の連鎖を断ち切るための一つの手段といえるでしょう。

渋滞税の効果と課題

渋滞税には、大きく分けて以下のようなメリットがあります。

交通量の削減

都市中心部への車両の流入を抑え、渋滞の緩和につながります。

大気汚染の抑制

車の利用が減ることで、排出される有害物質が減少します。

公共交通の促進

税収を公共交通の充実に活用することで、市民が利用しやすい環境が整います。

一方で課題もあります。たとえば、都市郊外に住む低所得層にとっては、自家用車に代わる安価で快適な公共交通の整備が進まないと不便さが増す恐れがあります。また、税の導入方法や対象区域の設定を間違えると、渋滞が他のエリアに移ってしまうかもしれません。このため、制度設計には慎重さが求められます。

税金の力で行動を変える、効果的なアプローチ

人々の行動を変えるには「コスト」を意識させることが有効ではないかと思います。たとえば、「タバコをやめさせるには説得ではなく値段を上げる」など、渋滞税も同じ発想です。車を使うコストを上げることで、公共交通機関やシェアリングサービスへの移行を促進できます。渋滞税のように税収を市民の利便性向上に再投資する方法は、社会にとってプラスになるはずです。

未来を見据えた都市計画の一環として

渋滞税は、単なる財源確保の手段ではなく、都市計画や環境政策と密接に結びついた取り組みです。アジアでの成功例が広がれば、他の地域や国にも波及していくかもしれません。
私たちも日常の移動手段や交通問題について少し立ち止まって考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。自分の選択が未来の都市や環境にどう影響するのかを意識することで、持続可能な社会への一歩を踏み出せるかもしれませんね。