みなさん、こんにちは!
今日は、「サーマルリサイクル」についてお話ししたいと思います。プラスチックのリサイクルと聞いて、どんなイメージを持っていますか?ペットボトルが再びペットボトルになることや、廃プラスチックが文房具に生まれ変わる姿を想像するかもしれませんね。でも、「サーマルリサイクル」には少し違う視点があるんです。
サーマルリサイクルってなに?
サーマルリサイクルとは、廃プラスチックを燃やして得られる熱エネルギーを活用する方法です。例えば、ゴミ焼却施設で発生した熱を使って発電したり、地域の暖房や温水プールに活用したりします。一見すると「熱エネルギーを無駄にしないエコな方法」に思えますよね。
ただ、この方法は「リサイクル」という名前がついているものの、実際には材料そのものが再利用されるわけではありません。そのため、海外では「サーマルリサイクル」はリサイクルに含まれず、「サーマルリカバリー(熱回収)」と呼ばれています。この点はちょっとモヤモヤしますが、エネルギー効率の面では一定の意義がありますね。
サーマルリサイクルとは、廃棄物を燃やすときに発生する「熱エネルギー」を回収して利用するリサイクル方法です。
しかし、ごみの中にはリサイクルが困難なものや、分類・仕分けに時間がかかるものもあります。たとえば宅配ピザの空き箱は、ピザの油や汚れが付いているため、古紙としてリサイクルすることが難しい物です。このようなごみは、原料として利用するのではなく、燃やして「熱エネルギー」を回収することで、「リサイクルをした」とみなしているのです。これがサーマルリサイクルです。
https://www.egmkt.co.jp/column/consumer/629/
サーマルリサイクルが日本で主流の理由
日本では廃プラスチックの6割以上がサーマルリサイクルされています。その理由の一つは、日本の国土が狭く、埋め立て処分地が限られていること。
また、マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルが適用できない汚れたプラスチックや混合プラスチックも多く、これらを無害化しつつ処理するためには焼却が必要です。
日本がこの方法に頼る背景には、国土や技術の制約があることが大きいということ。「もっとマテリアルリサイクルを増やせばいいのに」と思いましたが、現実はもう少し複雑なんですね。
サーマルリサイクルの課題
一方で、サーマルリサイクルにはデメリットもあります。廃プラスチックを燃やす過程で大量の二酸化炭素(CO2)が排出されるため、地球温暖化への影響が懸念されます。また、廃プラスチックが完全燃焼しない場合、有害物質が発生する可能性もあります。SDGsの観点では、目標13「気候変動に具体的な対策を」への課題が大きいといえるでしょう。
「サーマルリサイクルは本当に持続可能な方法なのか?」と疑問に感じました。確かにエネルギーを有効活用するという側面は評価できますが、もっと優先すべきは「リデュース(廃棄物の発生抑制)」や「リユース(再使用)」ではないでしょうか。
サーマルリサイクルの未来
サーマルリサイクルはあくまで最終手段であり、循環型社会の目標を達成するにはその手前の段階、つまりリデュースやリユースを進めることが重要だということです。また、技術の進歩によって、ケミカルリサイクルやマテリアルリサイクルの適用範囲が広がれば、サーマルリサイクルの依存度を減らせる可能性もあります。
ケミカルリサイクルとは
ケミカルリサイクルとは、廃棄物を化学的に分解し、新たな物質を作り出すリサイクル方法です。例えば、廃プラスチックを溶解して合成ガス(例: 水素、二酸化炭素)を生成し、そのガスを原料としてアンモニアや炭酸ガスといった新しい製品を作ることができます。
2022年には、廃プラスチックの約3%にあたる28万トンがケミカルリサイクルによって処理されました。この方法は、高品質な再生材を製造できる一方で、廃材を溶解する際に多くのエネルギーを消費するという課題もあります。
マテリアルリサイクルとは
マテリアルリサイクルとは、廃棄物を新しい製品の原料として再利用する方法です。「マテリアル」は英語で「物」を意味し、物から物へのリサイクルをすることを指します。
例えば、廃プラスチックを溶かして原料に戻し、新たなプラスチック製品を作ることが可能です。再生されたプラスチックは、文具やペットボトルのような小さなものから、公園の設備といった大規模なものまで、幅広く利用されています。
マテリアルリサイクルは再利用ができるだけでなく、リサイクル時のエネルギー消費が少ない点も大きなメリットです。2022年には約22%にあたる180万トンの廃プラスチックが、マテリアルリサイクルによって処理されました。
https://www.mitsui.com/solution/contents/solutions/circular/material-recycling
サーマルリサイクルは廃プラスチック問題を解決する一つの方法ですが、万能ではありません。
私たち一人ひとりができることとしては、使い捨てプラスチックの利用を減らしたり、リサイクル可能な製品を選んだりすることが大切です。「つくる責任、つかう責任」を意識して、未来の環境を守っていきたいですね。