みなさん、こんにちは!
2025年の大阪・関西万博で注目を集めているのが、脱炭素に取り組むスタートアップ企業たちです。予算の使い方には議論があるものの、日本の環境技術の最前線を知る良い機会になりそうです。今回は、その中から特に興味深い企業をいくつかピックアップしてご紹介したいと思います。

未来の海を変える自律航行システム

エイトノット社が開発している「エイトノットAI CAPTAIN」は、水上モビリティの自律航行を可能にするシステムです。AIによる状態推定や物体認識技術を活用し、専門知識がなくても安全で効率的な航行を実現できます。

これは養殖業界にとっても革新的な技術になりそうです。10年前、オーストラリアのタスマニアで牡蠣養殖を視察した際、現地の生産者が「今のやり方はまだまだ改善できる。今は男たちが海に行って牡蠣を水揚げしてくるが、将来は女性が簡単に船を出せて、楽々と機械を使って牡蠣を水揚げしてくることが普通になる。」と語っていましたが、このシステムはその予想をさらに超えて、完全自動化された養殖作業を可能にするかもしれません。

考えてみれば、飛行機はすでに自動操縦が当たり前になっていますよね。海は陸上の道路と違って障害物が少なく、自動化しやすい環境なので、水産業の未来を大きく変える可能性を感じます。

次世代の太陽光発電を担う期待の星

京都大学発のスタートアップ、エネコートテクノロジーズが開発しているペロブスカイト太陽電池。一見地味に見えるかもしれませんが、この技術は非常に実用的で将来性があります。変換効率が高く、軽量で柔軟性があり、しかも印刷技術で安価に製造できるという特徴を持っています。トヨタ自動車との共同開発も進んでおり、2026年には量産工場の稼働も予定されています。

私が特に注目しているのは、この技術の汎用性の高さです。従来の太陽電池は設置場所が限られていましたが、軽量で曲げられる特性を活かせば、車体や建物の曲面など、今までは考えられなかった場所にも設置できるようになるでしょう。

空の上の新しい交通手段

Zip Infrastructureが提案する自走式ロープウエイ「Zippar」は、従来のモノレールとは一線を画す革新的な交通システムです。道路上の空間を活用し、バッテリー駆動による自動運転で、建設コストは従来の5分の1という画期的なものです。すでに福島県南相馬市などでテストが行われており、海外からも注目を集めています。

個人的に、このシステムの面白いところは、既存の道路空間を立体的に活用できる点だと思います。新しい用地取得が不要で、しかも建設コストが大幅に抑えられるなら、地方都市の新たな公共交通機関として大きな可能性を秘めているのではないでしょうか。

植物性廃棄物の新たな可能性

ジカンテクノの取り組みも興味深いものです。もみ殻のようなバイオマス廃棄物からシリカやカーボンを取り出し、有効活用する技術は、農業廃棄物の新しい活用法として注目に値します。スズキとの共同プロジェクトが進行中とのことで、自動車産業への応用も期待されます。

その他の注目企業たち

脱炭素に向けた取り組みは実に多様です。プラスチックの循環経済を目指すAlchemist Material、波のエネルギーで二酸化炭素を回収するYellow Duck、生命現象を光で操作するミーバイオなど、それぞれユニークな技術で環境問題に挑戦しています。

これらの企業の多くが、単なる環境負荷低減だけでなく、新しいビジネスモデルの創出も目指しています。環境技術は「コストがかかるもの」という従来の考え方から、「新しい価値を生み出すもの」への転換が進んでいるように感じます。

以前は海外と比べて見劣りすると言われていた日本の脱炭素関連ベンチャーですが、このように着実に革新的な企業が増えてきています。大阪・関西万博は、そんな日本のスタートアップの実力を世界に示す絶好の機会となりそうですね。